レンケーズ
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2026年7月、大手食品グループのニチレイで、不正アクセスによるシステム障害が発生しました。冷蔵倉庫の入出庫業務や冷凍食品の出荷業務が一時停止し、取引先を含め広範囲に影響が及んだと報じられています。同社は7月15日の続報で、サイバー攻撃を受けたサーバーの一部に個人情報が保管されていたことを明らかにし、「漏えいの可能性がある事案」として個人情報保護委員会へ届け出たことも公表しました(出典:ITmedia「ニチレイ、不正アクセスによるシステム障害を公表 一部業務に影響」)。
この件でニチレイはあくまで不正アクセスの「被害企業」の立場です。ただ、こうした報道に接するたびに、経営者や総務・情報システム担当の方の頭をよぎるのは「もし自社で同じことが起きたら、どう対応すればいいのか」という漠然とした不安ではないでしょうか。
私は千葉県警察で刑事課長や検視官を務めた後、独立して危機管理コンサルティングに携わっています。数多くの事件・トラブルの現場に向き合ってきた経験から言えるのは、情報漏えいを含む「有事」において企業の明暗を分けるのは、事故そのものよりも初動対応だということです。
まず大切なのは「事実確認と記録」です。いつ、どこから、何が、どの程度漏れた可能性があるのかを、憶測を交えず時系列で整理すること。慌てて公表や謝罪を急ぐと、後から情報が二転三転して信用を大きく損ないます。逆に事実確認を怠って公表を遅らせれば、二次被害の拡大や対応の遅れにつながります。段階を踏んで第一報・第二報と情報を更新していく姿勢は、社内被害の全容が把握しきれていない初期段階ではむしろ現実的な対応と言えるでしょう。
次に「社内不正か外部からの攻撃か」の切り分けです。刑事として盗犯捜査や検視に携わっていた経験からも、事案の性質を見誤ると対応の方向性そのものがずれてしまいます。外部からのサイバー攻撃であればシステム面の防御と警察・専門機関への相談が優先されますし、内部の人間が関与している可能性がある場合は、証拠保全や社内調査の進め方がまったく異なります。初期段階では両方の可能性を潰さずに調査を進めることが重要です。
三つ目は「行政・関係機関への報告」です。個人情報保護法上、漏えいの可能性がある場合は個人情報保護委員会への報告義務があります。「まだ漏れたと確定していないから」と様子見をしてしまう企業も少なくありませんが、疑いの段階で早めに相談窓口や専門家につないでおくことで、後々の判断がぶれにくくなります。
四つ目は「取引先・顧客への説明」です。ニチレイの事案でも、複数の取引先に影響が波及したと報じられています。自社だけの問題ではなく、サプライチェーン全体に関わる問題だという意識を持ち、どこまで開示し、どこから調査中とするかを事前にすり合わせておくことが、信頼関係を保つ鍵になります。
ここで少し考えてみてください。もし明日、自分の会社のサーバーに不審なアクセスの痕跡が見つかったら、あなたはまず誰に、何を、どう報告しますか。社内に明確な初動対応のルールがなければ、いざという時に担当者が一人で抱え込み、判断を誤ってしまうかもしれません。
情報漏えいや社内不正といった「有事」は、起きてから慌てて調べ始めても手遅れになりがちです。平時のうちに初動対応のルールを整え、いざという時に相談できる窓口を持っておくことが、結果として被害を最小限に抑えることにつながります。弊社では、元警察官としての捜査経験を活かし、企業の情報漏えい対策や社内不正の予兆確認、有事の初動対応についての危機管理コンサルティングを行っています。「うちは大丈夫だろうか」と少しでも不安を感じた際は、お気軽にご相談ください。

千葉県警察官時代、捜査一課課長補佐、所轄刑事課長を歴任。在職中、ストーカー殺人事件に携わり被害者保護の重要性を強く感じ、ストーカー・DV被害者を一人でも多く救いたい想いから2018年に株式会社RenK’zを設立。被害者を守る身辺警護、各種調査、とりわけストーカーの手口である盗聴、盗撮、GPSの発見調査に重きを置いている。