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情報漏えいを公表した後、会社は何をすべき?信頼回復までの危機管理を元刑事が解説

2026.08.24
危機管理

2026年8月、大手食品メーカーがランサムウェア攻撃を受け、従業員の氏名や生年月日、社用メールアドレスなどが外部に漏えいした可能性があると公表しました。7月に発生したシステム障害の原因調査を進める中で判明したもので、対象者には個別に通知が行われています(ITmedia NEWS)。幸い、2026年8月時点で不正利用は確認されていないとのことですが、こうした「公表後」の対応こそ、企業の危機管理の真価が問われる局面です。

情報漏えいというと、多くの企業は「攻撃を受けた直後にどう食い止めるか」ばかりに目が向きがちです。しかし実際に信頼を左右するのは、事実を公表した後、従業員や取引先、顧客にどう向き合うかという部分です。今回は、この「公表後の危機管理」について、元刑事の視点から整理します。

なぜ「公表した後」の対応が甘くなるのか

私は警察官時代、企業や個人からの様々な相談を受ける中で、「事件になってから」駆け込んでくるケースを数えきれないほど見てきました。情報が漏れたかもしれない、社内で不正が起きているかもしれない——そうした兆候の段階で相談できる場所がなく、結局は被害が広がってから警察に持ち込まれる。現場で何度も感じたのは、犯罪として立件できる行為が起きるまで、警察が動ける範囲には限界があるということです。

この構造は今も変わっていません。情報漏えいや社内不正は、多くの場合「犯罪」として立件できるかどうかがはっきりしない段階が長く続きます。だからこそ、公表するかどうか、どこまで説明するか、誰が謝罪と説明の窓口になるかといった判断を、企業自身が手探りで行わなければならないのです。凄惨な事件現場から地道な事件対応まで、数えきれないほどの現場を踏んできた元刑事として感じるのは、初動でつまずく企業の多くが、公表の"その後"の設計を持たないまま発表に踏み切ってしまっているということです。だからこそ、事件化する前の空白を民間の立場で埋めたいという思いで、今の仕事をしています。

情報漏えい公表後に企業がすべきこと

危機管理コンサルティングとは、事件や不祥事が発生した際の初動対応から再発防止策の構築まで、企業が信頼を維持・回復するために行う一連の備えと実務支援のことです。情報漏えいを公表した後は、主に次のような対応が求められます。

  • 情報の小出しを避ける:分かっている事実と、まだ調査中の事実を明確に分けて伝えないと、後から続報が出るたびに信頼が削られます。
  • 対象者への個別連絡:漏えいの可能性がある本人に対しては、報道発表とは別に、具体的にどの情報が対象かを個別に伝える必要があります。
  • 二次被害への注意喚起:漏えいした情報を悪用したフィッシングメールやなりすまし連絡が発生しやすいため、対象者への注意喚起を早い段階で行います。
  • 社内の説明責任者を一本化する:窓口や説明内容が部署によってばらつくと、それ自体が不信感の原因になります。
  • 再発防止策を期限付きで示す:「調査中」で終わらせず、いつまでに何を見直すのかを明示することが、取引先や従業員の安心につながります。

これらは特別な体制がなくても、事前にシミュレーションしておくことで実行可能です。逆に言えば、平時に何も準備していない企業ほど、公表後の対応で後手に回ります。

自社で起きたらと考えてみる

もし明日、自社の従業員名簿や取引先情報が漏えいした可能性があると分かったら、誰が第一報を受け、誰が社内外への説明を担い、どの範囲まで公表するか、すぐに答えられるでしょうか。多くの経営者や総務担当者にとって、これは考えたくない、しかし考えておくべき問いだと思います。実際に起きてから体制を組み立てようとすると、判断のスピードも精度も落ちてしまいます。一人で、あるいは社内だけで抱え込んで判断を誤るよりも、早い段階で外部の専門家に相談したほうが、選べる対応の幅は確実に広がります。

よくある質問

Q1. 情報漏えいが疑われた場合、すぐに公表すべきですか?
事実関係の確認が不十分なまま公表すると、後で訂正が相次ぎ、かえって信頼を損なうことがあります。まずは影響範囲を調査したうえで、対象者への個別連絡と並行して、必要な範囲で公表するのが一般的な流れです。

Q2. 中小企業でも危機管理コンサルは必要ですか?
規模に関わらず、情報漏えいや社内不正は起こり得ます。むしろ専任の担当者を置きにくい中小企業ほど、外部の専門家に平時から相談できる体制を持つ意味は大きいです。

Q3. 漏えいした情報が悪用されたかどうかは、どう確認すればよいですか?
現時点で不正利用が確認されていなくても、油断はできません。対象者にはパスワードの変更や、不審なメール・電話への警戒を呼びかけ、金融機関等に紐づく情報が含まれる場合は該当機関への相談も案内します。

Q4. 危機管理コンサルティングとは具体的に何をしてくれるのですか?
情報漏えいや社内不正、ハラスメント、反社リスクなどが疑われる場面での初動対応の助言、社内調査の支援、再発防止策の設計、有事の際の対応シミュレーションなどを行います。事件化する前の相談段階から関わることができるのが、警察とは異なる民間の強みです。

Q5. 相談すると必ず大掛かりな調査になりますか?
そうとは限りません。まずは状況を整理し、社内でできる対応と外部の専門的な調査が必要な部分を切り分けるところから始めるのが一般的です。

まとめ

情報漏えいは、起きてしまった事実そのものよりも、その後の対応で企業の信頼が試されます。2026年8月時点でも、こうした事案は業種を問わず起き続けています。「うちは大丈夫」と思っている段階から、一度対応の流れを整理しておくことが、いざという時の被害を最小限に抑える近道です。少しでも不安な点がある方は、早めにご相談ください。

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