レンケーズ
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2026年9月、香川県高松市で、知人女性の自宅付近をうろついた末に、女性の勤務先の駐車場へ「名誉を害する内容の書面」をばらまいたとして、45歳の会社員の男がストーカー規制法違反の疑いで逮捕されました。容疑者は容疑を認めているとされています(参照:KSB瀬戸内海放送「知人女性の名誉を害する書面ばらまくなど ストーカー行為をした疑い 高松市の会社員の男(45)逮捕」)。
「待ち伏せ」や「無言電話」といった典型的なストーカー行為は広く知られていますが、今回のように「悪口を言いふらす」「中傷文書を配る」といった手口も、実はストーカー規制法が定める「つきまとい等」の一類型に該当することは、意外と知られていません。この記事では、元刑事の視点から、この種の行為がなぜ規制対象になり得るのか、被害に遭った場合にどう対応すべきかを解説します。
私は警察官時代、ストーカーやDVに関わる相談を数多く受けてきましたが、「待ち伏せされている」「電話がしつこい」という相談は比較的わかりやすく動きやすい一方、「職場や近所に悪口を言われている」「変な噂を流されている」という相談は、最初は「ただの人間関係のトラブル」として扱われがちだと感じていました。証拠が文書や噂という形で残りにくく、被害者自身も「これは犯罪になるのだろうか」と半信半疑のまま我慢してしまうケースを、現場で何度も見てきました。
こうした「見えにくい嫌がらせ」が放置されてしまう背景には、加害者本人と直接対峙する行為に比べて、第三者を介した中傷や噂の拡散は相談を受ける側にも軽視されやすいという構造的な限界があると感じています。被害者が「これくらいで警察に相談していいのか」と迷っているうちに行為がエスカレートし、より深刻な接触や被害に発展してしまう例を、私は現場で繰り返し目にしてきました。だからこそ、民間の立場で、警察に相談する前の「これは対象になるのか」という迷いを埋める情報発信をしたいと考えています。
ストーカー規制法における「名誉を害する事項の告知等」とは、特定の相手に対する恋愛感情やそれが満たされなかったことへの怨恨の感情から、相手の名誉を傷つける内容を本人や周囲に伝えたり、そうした文書・情報を配布したりする行為のことです。つきまとい等の類型の一つとして定められており、直接の身体的接触がなくても該当し得る点がポイントです。
具体的には、以下のような行為が該当し得ます。
ただし、ストーカー規制法が適用されるためには「恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」があることが前提です。単なる名誉毀損やビジネス上のトラブルとの線引きが必要になるため、実際に該当するかどうかは個別の事情によって判断されます。
ばらまかれた文書やメッセージのスクリーンショット、目撃した第三者の証言など、証拠をできる限り保全することが第一歩です。その上で、警察のストーカー相談窓口や弁護士に相談し、警告や禁止命令等の申出、あるいは被害届の提出を検討します。文書の内容によっては名誉毀損罪や侮辱罪との重複適用もあり得るため、専門家による整理が重要です。
もし自分や家族、あるいは自分の職場の同僚が、こうした「言いふらし」の被害に遭ったら、あなたはすぐに「これは犯罪かもしれない」と気づき、適切な窓口に相談できるでしょうか。多くの方が「証拠もあいまいだし、大げさにしたくない」と一人で抱え込んでしまいがちです。しかし、行為がエスカレートしてからでは選べる対応の幅が狭まってしまいます。早い段階で第三者に状況を整理してもらうことで、警察に相談すべきか、弁護士に依頼すべきか、あるいは民間の調査を挟んで証拠を固めるべきかといった選択肢が見えてきます。
「悪口を言いふらされる」「中傷文書をばらまかれる」という被害は、身体的な接触を伴わないために軽視されがちですが、ストーカー規制法上の「つきまとい等」に該当し得る、れっきとした違法行為です。2026年9月時点でも、今回取り上げたような事案は各地で発生しています。一人で抱え込まず、まずは状況を整理し、必要であれば警察や弁護士、私たちのような民間の危機管理・調査の専門家に相談することをおすすめします。RenK'zでは、こうしたストーカー被害に関する状況整理や証拠収集のご相談も承っています。
行為の背景に恋愛感情やその怨恨が認められ、ストーカー規制法上の「つきまとい等」に該当すると判断されれば、警告や禁止命令等の対象になり得ます。まずは最寄りの警察のストーカー相談窓口へ状況を伝えることをおすすめします。
名誉毀損罪は公然と事実を摘示して名誉を傷つけた場合に成立する刑法上の犯罪で、恋愛感情の有無は問いません。一方でストーカー規制法違反は、恋愛感情やその怨恨に基づく行為であることが要件となる点が異なります。状況によっては両方が同時に問題になることもあります。
配布された文書の現物やコピー、撮影した写真、目撃者の証言、SNSやメッセージのスクリーンショットなどを日付とともに記録しておくことが重要です。可能であれば第三者の立ち会いのもとで保全すると信頼性が高まります。
感情的な直接対応はトラブルの拡大や新たな被害につながる可能性があるため、単独での直接抗議は避け、警察や弁護士など第三者を通じた対応を検討することをおすすめします。
事実と異なる情報が広まっている場合は、早めに上司や人事担当者に経緯を伝え、必要に応じて警察への相談状況も共有しておくと、職場内での誤解を防ぎやすくなります。

千葉県警察官時代、捜査一課課長補佐、所轄刑事課長を歴任。在職中、ストーカー殺人事件に携わり被害者保護の重要性を強く感じ、ストーカー・DV被害者を一人でも多く救いたい想いから2018年に株式会社RenK’zを設立。被害者を守る身辺警護、各種調査、とりわけストーカーの手口である盗聴、盗撮、GPSの発見調査に重きを置いている。