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陰口・中傷文書をばらまく行為もストーカー規制法違反?「名誉毀損型」つきまといを元刑事が解説

2026.09.19
ストーカー

知人の悪口を書いた文書をばらまく行為も「ストーカー」になる

2026年9月、香川県警は、知人女性に関する事実と異なる内容を記した文書を近隣にばらまくなどしたとして、高松市の会社員の男をストーカー規制法違反の疑いで逮捕したと報じられました(参照:KSB瀬戸内海放送)。同じ時期には静岡県内でも、交際関係のない知人女性の職場に何度も押しかけたとして、消防職員の男がストーカー行為の疑いで逮捕されたことが報じられています(参照:静岡朝日テレビ)。いずれも捜査段階の容疑であり、事実関係は今後の捜査で明らかになっていくものです。

「ストーカー」と聞くと、待ち伏せやGPSでの追跡、しつこい電話やメールを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし今回の香川のケースのように、相手の評判を貶める文書を周囲にばらまく行為も、法律上は「つきまとい等」の一類型として扱われ得ます。この記事では、こうした"名誉毀損型"のつきまとい行為がなぜストーカー規制法の対象になり得るのか、そして交際関係がなくても起こり得るストーカー被害にどう備えるべきかを、元刑事の視点から解説します。

交際関係がなくても起こる、ストーカーの構造的な問題

ストーカー規制法における「つきまとい等」とは、特定の相手に対する恋愛感情や好意の感情、またそれが満たされなかったことへの怨恨の感情を満たす目的で行われる、つきまとい・待ち伏せ・面会や交際の要求・著しく粗野な言動・無言電話や拒否後の連続した連絡・名誉を害する事項を告げる行為などを指します。ポイントは、現在交際しているかどうかではなく、こうした感情を満たす目的があるかどうかという点です。片思いや過去の一方的な好意、あるいは職場や近隣での人間関係のこじれから、執着行為に発展するケースは珍しくありません。

私は警察官時代、凄惨な事件現場から日常のちょっとしたトラブルの現場まで、数えきれないほど多くの現場に足を運んできました。その中で感じてきたのは、ストーカー加害者は必ずしも「元交際相手」とは限らないということです。とりわけ今回のような、直接本人に接触するのではなく周囲に悪評を広めるという手口は、被害者本人が異変に気づきにくく、また警察に相談しても行為の反復性や特定性の立証が難しいことがあります。現場でそうした被害者の方と接するたびに、もっと早い段階で誰かに相談していれば、ここまで事態がこじれる前に手を打てたのではないかと感じることが何度もありました。

なぜこうした被害は繰り返されるのでしょうか。ストーカー規制法は改正のたびに対象となる行為が広がってきましたが、警察が警告や捜査に踏み切るには一定の要件を満たす必要があり、被害の初期段階ではすぐに動けないことも少なくありません。加害者の逮捕に至るまでの間、被害者が長期間にわたり不安を抱え続けているケースがほとんどです。だからこそ、警察が本格的に介入する一歩手前の段階で、民間の立場から被害の兆候を整理し、証拠をまとめ、必要な機関へつなぐ役割の重要性を、退職後の今、強く感じています。

被害に気づいたときにできること

2026年9月時点で、こうした"名誉毀損型"のつきまといに対する具体的な対処法として、次のような点が挙げられます。

  • 証拠の保全:配布された文書やSNSの投稿は、削除される前に写真・スクリーンショットで記録し、原本があれば保管しておく。
  • 記録の習慣化:いつ・どこで・誰が関与したと考えられるかを、時系列でメモに残しておく。
  • 相談先の確保:最寄り警察署の生活安全課、弁護士、民間の調査会社など、複数の窓口を把握しておく。
  • 安全確保の検討:被害がエスカレートする兆候がある場合は、身辺警護など専門的なサポートの利用も選択肢に入れる。

特に文書やSNSでの拡散は、口頭でのつきまといと違って証拠が残りやすい一方、削除や拡散によって早期に消えてしまう可能性もあります。気づいた時点でのスピーディな証拠保全が、その後の相談や対応の選択肢を大きく左右します。

よくある質問

Q1. 交際関係がなくてもストーカー規制法の対象になりますか?

はい。法律上の要件は、恋愛感情等を満たす目的やその感情が満たされなかったことへの怨恨の感情に基づく行為であることであり、実際に交際していたかどうかは要件ではありません。片思いや一方的な好意から生じる執着行為も対象となり得ます。

Q2. 悪口を書いた文書をばらまかれた場合、まず何をすればいいですか?

配布された文書を写真に撮るなどして証拠を保全し、いつ・どこで・誰が配布したと考えられるかを記録してください。そのうえで最寄りの警察署の生活安全課や弁護士に相談することをおすすめします。

Q3. 警察に相談しても対応してもらえないことはありますか?

行為の反復性や相手の特定など、法律上の要件を満たしていないと判断された場合、警告や捜査にすぐには至らないことがあります。ただし相談記録が残ること自体がその後の対応に役立つ場合もあるため、諦めずに相談することが大切です。

Q4. 名誉を傷つけられた場合、慰謝料を請求できますか?

名誉毀損やプライバシー侵害にあたると認められる場合、民事上の損害賠償(慰謝料)を請求できる可能性があります。ただし個別の事情によって判断が分かれるため、弁護士へ相談することをおすすめします。

Q5. 民間の調査会社や身辺警護に相談するタイミングの目安はありますか?

「そのうち収まるはず」と様子を見ている間に被害がエスカレートするケースもあります。不安を感じ始めた早い段階で相談することで、証拠収集や安全確保について検討できる選択肢が広がります。

まとめ:一人で抱え込む前に

もし自分や家族が、身に覚えのない噂や中傷文書を近隣や職場にばらまかれる立場になったら、どう感じるでしょうか。「大げさにしたくない」「そのうち収まるだろう」と一人で抱え込むうちに、事態が悪化してしまうケースを、現場で何度も見てきました。一人で判断に迷うくらいなら、早めに第三者に相談したほうが、見えてくる選択肢は確実に広がります。

弊社では、元警察官の視点から状況の整理や証拠のまとめ方についてのご相談に対応し、必要に応じて身辺警護などのサポートもご提案しています。交際関係の有無にかかわらず、しつこい嫌がらせや身に覚えのない中傷にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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