レンケーズ
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2026年8月、名古屋市内の地下鉄車内で、17歳の少女の姿を半年にわたり繰り返しスマートフォンで撮影したとして、54歳の男性会社員が、ストーカー規制法違反および性的姿態撮影等処罰法違反未遂の疑いで逮捕されたと報じられました。面識のない相手を対象に、同じ車両で執拗に撮影行為を繰り返していたとされています(現時点では容疑の段階であり、確定した事実ではありません)。
満員電車や駅のホームは、誰もが「まさか自分が」と思う場所です。しかし、こうした公共空間での盗撮・つきまとい行為は、決して珍しいものではありません。2026年8月時点で、SNSやニュースを見れば、同種の被害報道は後を絶たない状況です。
私は警察官時代、凄惨な現場から日常のすぐ隣にあるような小さなトラブルの現場まで、数えきれないほどの事件現場を踏んできました。振り返って強く感じるのは、「まさかこんな場所で」という油断が生まれた瞬間に、事件は起きるということです。駅のホーム、電車の中、職場の休憩室――人が「ここは安全なはずだ」と思い込んでいる場所ほど、加害者にとっては都合の良い環境になってしまいます。
もう一つ、現場で繰り返し痛感してきたのは、被害者本人が「気のせいかもしれない」「大げさに騒ぎたくない」とためらっているうちに、行為がエスカレートしてしまうケースの多さです。ストーカー規制法や各種条例は、被害者からの相談や具体的な証拠がなければ動きにくいという制度上の限界を抱えています。声を上げにくい被害者心理と、証拠がなければ動けない制度の間にある「隙間」に、被害が繰り返し落ち込んでしまう構造があるのではないかと感じています。だからこそ、警察を退いた今、民間の立場でこの隙間を埋める役割を担いたいと考えています。
性的姿態撮影等処罰法とは、正当な理由なく他人の性的な姿態を撮影する行為や、その画像を保管・提供する行為を処罰する法律のことです。2023年7月に施行され、電車内でのスカート内や身体の盗撮も対象となり得ます。
これに加えて、同じ相手を継続的に見張ったり、待ち伏せたりする行為が繰り返されれば、ストーカー規制法上の「つきまとい等」に該当する可能性も出てきます。単発の盗撮であれば各都道府県の迷惑防止条例違反として扱われることもあり、行為の回数や態様によって適用される法律が変わってくるのが実務上のポイントです。なお、逮捕・起訴された段階では有罪が確定したわけではなく、裁判で判断されるまでは「容疑者」「被告」として扱われます。
公共の場での撮影や視線に違和感を覚えたときは、次のような対応が現実的です。
ここで少し考えてみてください。もし電車の中で誰かの視線や気配に違和感を覚えたとき、あなたはすぐに行動できるでしょうか。あるいは、家族や同僚から「最近つけられている気がする」と相談されたら、どう応じるでしょうか。
多くの人は、確信が持てないまま「考えすぎかもしれない」と自分の感覚を疑ってしまいます。しかし、一人で抱え込んで判断を誤るよりも、早い段階で警察や専門家に相談したほうが、選べる対応の幅は確実に広がります。証拠が少ない段階でも、どう記録を残せばよいか、どこに相談すればよいかを整理するだけで、その後の展開は大きく変わってきます。
証拠がなくても、まずは状況の記録(日時・場所・相手の特徴)を残すことが大切です。同じ人物に繰り返し遭遇するようであれば、その事実の積み重ね自体が相談時の重要な材料になります。
迷惑防止条例は都道府県ごとに定められ、盗撮行為全般を幅広く規制する条例です。性的姿態撮影等処罰法は国の法律として、性的な姿態の撮影・提供行為をより明確に処罰対象とするために2023年に新設されました。行為の内容や状況によって、どちらか、あるいは両方が適用される場合があります。
恋愛感情やそれに類する感情、またはそれが満たされなかったことへの怨恨の感情に基づいて、特定の相手に対し見張りや待ち伏せ、連続した電話・メッセージなどを行うことが要件となります。感情の有無や行為の反復性が判断のポイントです。
可能です。警察への相談と並行して、弁護士や民間の調査会社に相談することもできます。特に加害者の特定や証拠収集など、警察が直ちに動きにくい段階での対応は、専門の調査会社が力になれる場合があります。
行為の内容や被害の程度によっては、民事上の慰謝料請求が可能な場合があります。ただし個別の事情により大きく異なるため、具体的な金額や可否については弁護士への相談をおすすめします。
電車内や駅といった日常的な公共空間での盗撮・つきまとい行為は、決して他人事ではありません。2026年8月時点でも同種の事件報道が続いている以上、「自分は大丈夫」と油断せず、違和感を覚えた時点で記録を残し、早めに相談する姿勢が被害の拡大を防ぐ鍵になります。一人で抱え込まず、警察や弁護士、そして私たちのような民間の専門家も含めて、頼れる先を複数持っておくことをおすすめします。少しでも不安を感じたら、お気軽にご相談ください。
参考:地下鉄車内で18回に渡り面識ない少女をスマホで撮影するストーカー行為か 54歳会社員の男を逮捕 愛知(メ〜テレニュース)

千葉県警察官時代、捜査一課課長補佐、所轄刑事課長を歴任。在職中、ストーカー殺人事件に携わり被害者保護の重要性を強く感じ、ストーカー・DV被害者を一人でも多く救いたい想いから2018年に株式会社RenK’zを設立。被害者を守る身辺警護、各種調査、とりわけストーカーの手口である盗聴、盗撮、GPSの発見調査に重きを置いている。