レンケーズ

お悩み解決小噺ARTICLES

DV保護命令が出ても不安なら?違反時の対応と身を守る備えを元刑事が解説

2026.08.14
DV

今年7月、DV防止法に基づく裁判所の保護命令が出されていたにもかかわらず、その命令に違反した疑いで著名人が逮捕されたと報道された。保護命令は今年2月に発令されていたもので、接近禁止や連絡制限などが定められていたという(容疑を認めているかどうかを含め、事実関係は今後の捜査で明らかになる部分がある点には留意したい。参照記事)。この報道は、法的な歯止めである保護命令が出た後も、被害が必ず止まるとは限らないという現実を改めて浮き彫りにした。

保護命令は、DV防止法に基づき裁判所が加害者に対して発令するもので、被害者への接近禁止、電話・メール等の禁止、住居からの退去などいくつかの類型がある。よく似た制度にストーカー規制法上の禁止命令があるが、こちらは主に執拗なつきまとい行為に対して警察・公安委員会が関わる手続きで、根拠となる法律も申立ての窓口も異なる。DVの相手が同時にストーカー的な行動を取ることも少なくないため、被害者側としてはどちらの制度が使えるか、あるいは両方を並行して使えるかを整理しておく必要がある。

保護命令に違反すれば刑事罰の対象になり、警察も動きやすくなる。ここまでは制度として大きな意味を持つ。ただし現場を長年見てきた立場から言えば、保護命令は「出たら終わり」ではない。命令は紙の上の効力であって、加害者がそれを守るかどうかは別問題であり、違反が起きてから警察が実際に動くまでには時間差が生じる。距離的にも心理的にも、被害者自身が「もう守られている」と安心しきってしまうことのほうが、むしろ危険になりうる。

私自身、刑事課長を務めていた当時、他署の管内で発生したストーカー殺人事件に接したことがある。過去にも同種の事件を経験しており、加害者の行動をもっと早い段階で押さえられていれば結果は違ったのではという悔しさを味わった。DVもストーカーも、相手が一線を越えるタイミングを見誤らないことが何より重要になる点は共通している。保護命令が出た後こそ、次の一手を具体的に決めておく必要がある。

実務的には、まず違反の兆候(連絡、接近、周辺への出没、共通の知人を介した接触など)が少しでもあれば、日時・場所・内容をメモや写真、スクリーンショットなどの形で記録し、迷わず警察に通報することだ。「大げさかもしれない」とためらう人が多いが、記録の積み重ねが対応の優先度を上げる。次に、緊急時にすぐ動ける避難先や連絡手段をあらかじめ複数用意しておくこと。命令が出た直後は加害者の感情が不安定になりやすい時期でもあり、警戒を緩めないことが大切だ。加えて、相談窓口も一本に絞らず、警察の相談窓口、配偶者暴力相談支援センター、弁護士、そして状況によっては民間の危機管理の専門家というように、複数のルートを持っておくと、いざというとき動ける選択肢が増える。状況によっては、警察の対応を補完する形で、身辺警護や見守りといった民間の手段を組み合わせることも選択肢になる。

もし今、自分自身や家族、友人が保護命令を得たばかりだとしたら、その後の毎日を「もう安心」と考えて過ごすだろうか。それとも、次に何かが起きたときにどう動くかを具体的に決めておくだろうか。一人で先々の展開まで見通し、判断し続けるのは想像以上に負担が大きい。抱え込んだまま判断を誤るより、早い段階で警察や弁護士、民間の危機管理の専門家に相談したほうが、取れる選択肢は確実に広がる。

RenK'zでは、元警察官としての実務経験をもとに、DV・ストーカー被害者の身辺警護や危機管理コンサルティングに対応している。保護命令が出た後の不安や、次に備えるべきことが分からないという方は、一人で抱え込まず一度相談してほしい。

この記事の執筆者

お問い合わせCONTACT

まずはどんなことでもお気軽にお問い合わせください。
お急ぎの場合はお電話でご連絡ください。

お悩みの方は今すぐこちら

Tel.

受付時間 24時間365日
定休日なし

お問い合わせフォーム365日24時間受付