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DV保護命令に違反したらどうなる?厳罰化された罰則と被害者が今できる備え【元刑事が解説】

2026.08.14
DV

2026年7月末、配偶者に対する保護命令に違反した疑いで著名人が逮捕されたというニュースが大きく報じられました。芸能ニュースとして話題になった一方で、「保護命令を出してもらったのに、相手が接近をやめてくれない」「命令を破られたらどうなるのか」という不安を抱える一般の方にとっても、決して他人事ではない出来事です。

実際、DV・ストーカー対策の相談を受けていると、「保護命令さえ出れば安心」と思い込んでいた方が、命令発令後もつきまとわれ続けて困惑するケースは珍しくありません。今回は、保護命令の仕組みと限界、違反時に何が起きるのか、そして被害者側が今からできる備えについて、元刑事の視点から解説します。

■ 保護命令とは何か

保護命令は「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)」に基づき、裁判所が加害者に対して発令するものです。主な内容は、被害者への接近禁止(6か月間、住居や勤務先付近をうろつくことなどの禁止)、電話等禁止命令、そして同居している場合の退去命令などがあります。2024年4月の法改正では、対象となる「暴力」の範囲が身体的暴力だけでなく、精神的・経済的な圧迫を伴う言動にも広がり、被害者保護の枠組みが強化されました。

■ 違反すると何が起きるのか

保護命令に違反した場合、以前は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」でしたが、2024年4月の法改正により「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」へと厳罰化されています。罰則が重くなった背景には、命令が出ても行為をやめない加害者が一定数存在し、被害者が命の危険にさらされる事案が後を絶たなかったという実情があります。今回報じられた著名人のケースも、保護命令という「裁判所の命令」があってもなお接触が続いたことが問題視されたものと見られます。

■ 元刑事として感じる「紙の命令」の限界

捜査現場に長くいた立場から率直に言うと、保護命令はあくまで「これ以上近づいたら処罰する」という法的な抑止力であり、発令された瞬間に加害者を物理的に引き離してくれるわけではありません。命令違反は基本的に、被害者側からの通報や証拠提出があって初めて警察が動く仕組みです。つまり、違反の疑いがあるときにどれだけ迅速かつ具体的に警察へ伝えられるかが、その後の対応スピードを大きく左右します。

実務上重要なのは、接触や接近があった日時・場所・内容を、LINEのスクリーンショット、着信履歴、写真や動画、可能であれば目撃者の証言といった形でこまめに記録しておくことです。感覚的に「怖かった」だけでは立件は難しく、時系列で整理された客観的な記録があるかどうかで、警察や検察の初動、そして裁判所の判断材料の厚みが変わってきます。

■ 被害者側が今からできる備え

保護命令の申立てや違反時の通報と並行して、被害者自身の安全を物理的に確保する備えも欠かせません。具体的には、緊急時にすぐ連絡できる相手や避難先をあらかじめ決めておくこと、自宅や職場周辺での不審な人物・車両の有無を定期的に確認すること、そして状況によっては専門家による身辺警護を一時的に活用し、加害者が接触しにくい環境を作ることなどが挙げられます。GPSの無断装着や盗聴・盗撮といった形で相手の行動を探ろうとする加害者も実際に存在するため、身の回りに見慣れない機器がないか確認しておくことも安心材料になります。

もし今、あなたや身近な人が保護命令を受けているのに相手からの接触が止まらない、あるいは「そこまでではないけれど怖さを感じている」という状況にあったら、次にどう動くか一度考えてみてください。警察に相談するのか、弁護士に相談するのか、それとも誰にも言えずに一人で抱え込んでしまうのか。実際にその場面に立つと、思った以上に判断が難しいものです。

一人で抱え込んで判断が遅れてしまうより、早い段階で警察や弁護士、そして私たちのような民間の危機管理・身辺警護の専門家に相談したほうが、取れる選択肢は確実に広がります。保護命令はゴールではなく、安全を確保するための一つの手段に過ぎません。「命令は出たけれど、この先どう身を守ればいいか分からない」という段階でも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。

参考:元EXILE黒木啓司が保護命令違反で逮捕 妻へのDVと脱税背景に同情の声も - coki(2026年7月28日時点の報道。本記事執筆時点で捜査・審理中の内容を含むため、事実関係は今後変わる可能性があります)

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